

黒田洋介は1968年生まれの三重県出身の脚本家で、雑誌編集者を経て1994年の『天地無用!魎皇鬼』第2期で脚本家としてデビューしました。1996年には『魔法少女プリティサミー』でシリーズ構成と脚本を担当し、『ファイアーエムブレム 紋章の謎』のOVA作品にも参加しています。1998年には内藤泰弘原作の『トライガン』で全話脚本を手がけ、同年『アンドロイドアナMAICO2010』や『ジオブリーダーズ 魍魎遊撃隊』の脚本も担当しました。
参考)黒田洋介 - Wikipedia
1999年は黒田にとって飛躍の年となり、『デュアル!ぱられルンルン物語』『無限のリヴァイアス』『へっぽこ実験アニメーション エクセル・サーガ』と立て続けに作品を手がけています。特に『無限のリヴァイアス』は谷口悟朗監督とのタッグ作品で、SF版「十五少年漂流記」をコンセプトに閉鎖的な環境で生き抜く少年少女を描いた群像劇として高い評価を得ました。この作品は世紀末の不安をクローズアップし、そこから突き抜けて生きる姿をアプローチした意欲作です。
参考)https://dic.pixiv.net/a/%E9%BB%92%E7%94%B0%E6%B4%8B%E4%BB%8B
2001年には黒田の代表作の一つである『スクライド』が放送され、谷口悟朗監督との黄金タッグが再び結成されました。『スクライド』は主人公ストレイト・クーガーの熱血的なキャラクターと印象的な台詞回しで人気を博し、後に劇場版『スクライド オルタレイション TAO』『QUAN』として再構築されています。同年には原作脚本も担当した『ココロ図書館』、『ぷにぷに☆ぽえみぃ』も手がけました。
参考)「ID-0」谷口悟朗監督×黒田洋介対談—「スクライド」から1…
2007年から2009年にかけて放送された『機動戦士ガンダム00』では、シリーズ構成と全話脚本を担当し、ガンダムシリーズの脚本家として念願を果たしました。黒田は従来の5機編成ではなく4機編成とし、グラハム・エーカーなど印象的なキャラクターを生み出しました。当初50話分のプロットを提出したものの2シーズン制となり、SF小説「幼年期の終わり」や「ファウンデーション」を意識した大局的な視点と、その中で生きる人間を切り取る脚本が特徴です。
参考)機動戦士ガンダム00 - Wikipedia
2010年には『劇場版 機動戦士ガンダム00 A wakening of the Trailblazer』で脚本を担当し、ガンダム00の物語を完結させました。2013年には長崎健司監督と再びタッグを組んだ『ガンダムビルドファイターズ』でシリーズ構成と脚本を担当し、ガンプラバトルという新しい切り口でガンダムシリーズに新風を吹き込みました。長崎と黒田は『ガンダム00』制作後に再び一緒に仕事をしようと話し合っており、その結果生まれた作品です。
参考)黒田洋介 : 関連作品(映画) - 映画.com
2016年からは堀越耕平原作の『僕のヒーローアカデミア』でシリーズ構成と脚本を担当し、2024年の第7期まで継続して携わっています。劇場版も『2人の英雄』(2018年)、『ヒーローズ:ライジング』(2019年)、『ワールド ヒーローズ ミッション』(2021年)、『ユアネクスト』(2024年)と全て脚本を手がけています。原作者である堀越耕平の世界観を最大限にリスペクトしながら、黒田らしい熱い展開を生み出しています。
参考)黒田洋介:プロフィール・作品情報・最新ニュース - 映画.c…
2024年には萩原一至原作の『BASTARD!!―暗黒の破壊神―地獄の鎮魂歌編』でもシリーズ構成を担当し、ダークファンタジーの世界を脚本として構築しました。
参考)黒田洋介の出演アニメ一覧
黒田洋介の最大の特徴は「黒田節」と呼ばれる独特の台詞回しです。テンションが高く印象的でインパクトのあるセリフが特徴で、『機動戦士ガンダム00』のグラハム・エーカーや『スクライド』のストレイト・クーガーなど、数多くの人気キャラクターを生み出してきました。まったく別の場所にいるキャラクター同士で会話が成立したり、互いの主張や信念を交互にぶつけ合う手法もよく見られます。
参考)黒田洋介 - アニヲタWiki(仮) - atwiki(アッ…
脚本家の中でも特に筆が速いことで知られ、アニメ作品の全話脚本を一人で手がけることが多々あります。4クール以上の作品でも一人で全話担当することがあり、複数の作品を同時進行することから「黒田洋介複数人説」という噂まで流れましたが、本人は日記で否定しています。その秘訣は「苦しくなる前に次の作品を書く」ことだと語っています。
作風の振り幅は非常に広く、『無限のリヴァイアス』のようなシリアスな群像劇から『スクライド』のような熱血作品、『おねがい☆ティーチャー』のような恋愛コメディまで多彩なジャンルをこなします。ただし、話のクオリティに極端な差があることもあり、神回の次の回が首を傾げる展開になることも珍しくありません。
黒田洋介は「原作を最大限にリスペクトして作業する」ことを信条としており、原作付き作品では原作の良いと思った部分を活かすことを重視しています。『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE』の制作時には、捕まったオールマイトがデクと目で会話する場面が印象的だったと語り、言葉ではなく視線で「やめろ」と伝える演出の重要性を指摘しています。
参考)ヴィジランテ-僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-|テ…
脚本は「数学で書ける」とも述べており、論理的な構成力と感情的な表現力を両立させる姿勢が窺えます。谷口悟朗監督や長崎健司監督との長年のコラボレーションでは、簡単な説明でニュアンスが通じる信頼関係を築いており、「あの時代の、あの感覚の、あれで」という会話だけで意図が伝わると語っています。
参考)尾崎隆晴監督、黒田洋介、倉田英之「BASTARD!! −暗黒…
黒田はロボットアニメから恋愛ものまでオールマイティにこなす万能型脚本家として、アニメ業界で確固たる地位を築いています。スタジオオルフェの取締役も務めており、脚本家としてだけでなく業界全体への貢献も続けています。
参考)黒田洋介③脚本家として生きていく自信を与えてくれた『TRIG…
黒田洋介の詳細な経歴とフィルモグラフィー - Wikipedia
黒田洋介の全作品リストと各作品の詳細情報が掲載されています。
黒田洋介脚本のガンダム作品特集 - ガンダム公式
黒田洋介自身がセレクトしたガンダム00とガンダムビルドファイターズのエピソード解説が読めます。
脚本家・黒田洋介氏インタビュー「脚本家になるまで」 - アグレッシブ烈士
黒田洋介の脚本家デビューから無限のリヴァイアス、スクライド制作までの経緯が語られています。